シンエヴァ観た

おたく嗜好
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この前シンエヴァ観てきた。

大した考察が書けるわけでもないので、ここでひっそりと思ったことを書くだけ。

 


 

自分は『新世紀エヴァンゲリオン』テレビアニメ放送期間中に生まれた世代だ。

高校の頃、旧劇エヴァを観たのが衝撃的で、一時期ひたすら考察サイトを読み漁っていた記憶がある。

しかしガチファンというわけではない。

 

以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

率直な感想

・普通に面白かった。

・シンジくんが立ち直るまでのシーンは、大人になれないオタクが同窓会でいじめられてるみたいで観てて辛かった。

・意味深な単語がたくさん出てきたけど、特に理解できなくても話の筋は追えた。

・画面がチカチカし過ぎでしばらく頭痛がした。

・何をやらかすか分からないという意味で、2時間半飽きずにハラハラして観れた。

・面白かったけど、シンジくんが力で解決する激アツ展開監督が伝えることを放棄する意味不明展開のどちらかを期待していたので、無難にまとまっていたのは少し残念。

 

考察いろいろ読んだ後の感想

本編よりも、正直オタク達の自分語りを読む方が楽しみだった。

肯定も否定もどちらも共感できる部分があったけど、どちらかというと批判の方に共感できてしまった。ちょっとシンエヴァに期待しすぎてしまったのかもしれない。

年を取って感性が鈍ってしまったこともあるけど、やっぱり旧劇の方が面白いなと思ってしまった。

あと旧劇の続きとして考えても、シンエヴァは少し物足りないなと思ってしまった。単純に世間の評価に対して逆張りしたいだけかもしれないけど……。

 

もやっとしてしまった点。

個人的に、エヴァンゲリオンのテーマは『他人とどう向き合うか』だと思っている。

相手が何考えてるかわからないし、わかったところでろくなこと考えてないし、他人に関わって傷つけるのも傷つけられるのも怖いし……。

しかしそれでも他人を他人として向かい合うことを選ぶ。

向き合う決意をしたことへの「おめでとう」であり、
向き合った結果の「気持ち悪い」だと思っている。

旧エヴァだと、主要キャラ含めて人間の気持ち悪いところが話の要素にふんだんに盛り込まれているところが個人的には好きだった。

『他人とどう向き合うか』というテーマを提示しておきながら、向き合うのも嫌になるほどキャラクターの醜い現実を突き付けてくる。そんな意地悪な感じがとても良かった。

だからこそ人と人が分かり合えない現実を、シンジくんに重ねて応援したくなっていた気がする。

そして「気持ち悪い」と言われた先で、シンジくんがどう他人と向き合っていくかを観たかった気がする。

 

そういった気持ちの中でシンエヴァを思い返すと、人間が全然気持ち悪くなかったなと思えてしょうがない。

リメイク版は全体を通して、登場人物はだいたい普通に良い人に見える。

人間の裏の醜い感情、みたいなものは薄めて描かれている。精神崩壊する描写も少ない。そういえば人間同士の殺し合いも描かれなかった。

『他人とどう向き合うか』というテーマは残っているけれど、今回はあくまで『他人と向き合うのが怖い』という問題だけに終始していたような気がする。

『他人と向き合うのが怖い』プラス『向き合ったら向き合ったで気持ち悪い』が旧エヴァだったはずなのに。

『他人と向き合うのが怖い』だけがテーマなのであれば、そこからハッピーエンドにもっていくのは簡単だ。ただ他人と向き合えばいい。

人と人が向き合うことで、誤解が解け、分かり合え、心が晴れ、解決する。非常にシンプルだ。

シンエヴァではそうなった。

 

シンエヴァによって旧エヴァのシンジくんも救われたという感想も観たけど、個人的には違う気がする。

旧エヴァの気持ち悪いシンジくんは救われていない。

シンエヴァの気持ち悪くない登場人物たちが、他人と向き合うことで救われただけだ。

救いようのない旧エヴァのテーマからゴール地点を移動させて、華麗にゴールしたように見せかけた。シンエヴァはそんな風に見えてしまった。

それでいいのかよ! と思ってしまった。

 

……しかし、それでいいのかもしれないとも思えてきた。

人間に気持ち悪い部分なんて初めからなかった。

それでいいのかもしれない。

他人と向き合うとはいっても、他人の汚い感情や醜さを、いちいち理解して受け入れる必要はない。

ありがとう

いただきます

さようなら

そんなシンプルな言葉の積み重ねで人と関わり合いながら、お互いの気持ち悪くない部分だけを観測しながら分かり合えた気になればいい。

他人の全てを理解しようとして苦しむのではなく、他人のことを『胸の大きい良い女』程度の認識で関わっていけばいい。

他人の悪意には極力目を向けず、善意だけに目を向けて感謝すればいい。

自分と他人の気持ち悪さを受け入れた上で関わり合うのではなく、気持ち悪い面を初めから無かったことにする。

ATフィールド全開ではなく半開くらいの距離感での立ち振る舞い。

それが大人の匂いというやつなのかもしれない。

 

たぶん旧エヴァと同じノリでキャラクターを描いていたら、リメイクしても大団円で完結することはなかったと思う。また「気持ち悪い」で終わっていたような気がする。

長い期間を空け、リメイクでキャラクターを作り替え、そしてオタク達が成長して大人になったからこそ、エヴァはシンプルで分かりやすい展開で物語を終えることができ、かつ大衆に受け入れられることができたのだろう。

 

ありがとうエヴァンゲリオン。

さようならエヴァンゲリオン。

シンエヴァ、Beautiful Worldな作品だった。

 

おわり。

 

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