前回記事に引き続き、根暗な人に向けてももクロの曲の魅力を紹介。
今回は具体的に自分が好きな曲をまとめました。自分の好みの都合で色々かなり偏ってます。
※JASRACが怖いので歌詞の引用なしでいきます。Apple MusicやAmazon Prime Musicなど、色々な聴き放題サービスで配信されているので、加入されている方はぜひ検索して聴いてみてください。
前回記事:根暗目線で考察するももクロの曲の魅力
1stアルバム『バトルアンドロマンス』収録曲
6人の「ももいろクローバー」から5人の「ももいろクローバーZ」に改名されて初めて発売されたアルバム。
1.コノウタ
これぞももクロといった感じの、アイドルらしい感じとひたすら真っすぐな感じが混ざった明るい歌。
恐らくももクロからファンへ向けたメッセージ的な意味が込められているのだと思う。
未熟ながらも大きな目標に向かって頑張り続ける、ボロボロになっても歌い続ける。
そんな歌詞の内容が、まだまだ途上だった当時のももクロの状況とすごくシンクロしている。もちろん今聴いても名曲。ライブではこの曲で名場面があったりなかったり……。
ももクロに興味を持ったならば、ぜひとも最初の方に聴いてみて欲しい曲。
2.CONTRADICTION
僕はももクロの曲の中でもオラオラ系のカッコいいやつが特に好きなのだが、この曲は代表的なオラオラ系の一つ。
とにかくこの曲、やたらと攻撃的で命令的。お前らついてこいや! と、『ぐいぐい引っ張ってくれる系』の曲である。引っ張るどころかぼーっとしていると置いて行かれそうな勢いだ。
半端な気持ちでアイドルをやっていたら、到底こんな曲を自信満々には歌えないと思う。あの歌詞の内容に根拠のない説得力を持たせるあたりさすがはももクロ、といった感じ。
勉強や仕事など、どうしてもやる気が出ないときにこの曲を聴くと、根拠はないけど少しだけ力が湧いてくる気がする。
『ももクロ★オールスターズ2012』 収録曲
3.あーりんは反抗期!
(↑この動画は特別版)
ももクロのピンク、あーりんこと佐々木彩夏のソロ曲。
あーりんはコテコテのブリブリのアイドルである。アベンジャーズで例えるならアイアンマンみたいな感じで、『アイドル(あーりん)としての仮面をつけた自分』と、『佐々木彩夏としての自分』というものを、上手く使い分けたり共存させたりしているように感じる。そんなところが個人的にとても惹かれる。
曲をざっくり説明すると、この曲はそんなあーりんの個性を前面に押し出した、『一度聴いただけで胃もたれがするようなコテコテのアイドル曲』である。
『だって あーりんなんだもーん』『あーりんは反抗期』『あーりんはあーりん』の3曲セットであーりん3部作と呼ばれている。3曲通して聴くことで、あーりんの迷いや葛藤、そしてアイドルとしての成長を知ることが出来るのである。
幼いころからアイドルとしての英才教育を受け、生まれながらにゴリゴリのアイドルだったあーりん。しかしあるときあーりんは悩む。あーりんは本当にあーりんなのだろうか。母親によって作りあげられたあーりん像に囚われるあーりん。しかし、あーりんはあーりんとしての自分を受け入れたのである。これからもあーりんはあーりんであり、あーりんはアイドルあーりんとして生き続けることを誓うのであった……。
自分でも何を書いているのかはよく分からない。
7thシングル『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』 収録曲
この辺りからももクロの曲のスケール感がおかしくなり始める。
自分はこの頃くらいにももクロに興味を持ち始めた。
4.DNA狂詩曲
狂詩曲は”ラプソディ”と読む。
先ほど紹介したCONTRADICTIONが『ぐいぐい引っ張ってくれる系』なら、この曲は『ぐいぐい背中おしてくれる系』である。
CONTRADICTION同様がんがん煽ってくるような力強い曲でありつつも、時折うしろを振り向いて歩調を合わせてくれるかのような優しさが感じられる。
このツンデレ感が非常に良い。
あと、人を励ます内容の歌詞で『遺伝子』とか『細胞』とかを使ってくるセンスも好き。
この曲はファンの間でも非常に人気の曲で、10周年の際の人気投票で見事1位を獲得していた。
ももクロはカップリング曲に良い曲が隠れていることが多い印象。
2ndアルバム『5TH DIMENSION』 収録曲
宇宙を超えて、このアルバムのテーマは5次元。ドラえもんもびっくり。
5.仮想ディストピア
(↑違う歌詞同時に歌ってるところ好き)
テンポが良くてノリの良い曲。
歌詞としては、何言ってるかは分かるんだけど何が言いたいのかは分からない。ポジティブなことを言っているのは分かる。みたいな感じ。ももクロのそんな感じの曲は、この辺りから増え始めたように思う。
こういう難解な曲は、ファンそれぞれによる独自の解釈を見るのが面白い。
「これはディストピアな現実世界で苦しむオタクがももクロという理想郷を見つける歌だ!」
とか、
「アイドルに裏切られ失望したオタクが別のアイドルに乗り換える歌だ!」
とか。
歌の意味を深読みすれば深読みするほど、ももクロの存在が次元を超えた特別なものに見えてしまう仕組みになっている。
3rd アルバム『AMARANTHUS』 収録曲
次元を超えたり、精神世界に行ったり、いろいろあって転生したらしい(?)ももクロ。
このアルバムのテーマは『人の一生』をテーマに作られていて、全体でテーマの統一感が感じられるアルバムになっている。
6.ゴリラパンチ
『人の一生』がテーマと言っておきながら、なぜか唐突に挟まれるゴリラソング。
ウホウホ言ったり全体的にどこかダサくて頭が悪そうな曲なんだけど、
だがそこがいい。
ダサいことを敢えて全力でするカッコよさ。
頭が悪そうで実は本質をついたメッセージ性。
そして何よりゴリラ振付の可愛さ。
一度聴いたらゴリラが頭から離れなくなる。
7.デモンストレーション
初めて聴いたときは割と衝撃を受けたこの曲。
ざっくり説明すると、『地動説が主流になりつつある世の中で、それでも天動説を信じ続けるある科学者に向けた歌』だと勝手に解釈している。
この曲は冒頭からいきなりセリフ調で、地動説を唱えたガリレオに語りかけることから始まる。
ガリレオのせいで、真実だったはずのものが嘘に変わってしまった。いつの間にか、地球は回っていると皆が言うようになってしまった。けれども私はそれを信じない。私は私なりのやり方で、いつかきっと地動説を覆してみせる。私が地球を止めてやるんだ!
みたいな感じ。
そしてこんなめちゃくちゃな主張に対し、ももクロはももクロの視点からこう語りかける。
「君は君のままでいいんだよ」
どう考えても地動説の方が正しいはずなのに、地球は当たり前のように回っているはずなのに、たぶんその努力は報われないはずなのに、ももクロは優しくそれを肯定し、そっと背中を押すのである。
なんか切ない。
そしてこの曲の最後、ももクロは何度も何度もこう繰り返すのである。
止まれ、止まれ、止まれ、止まれ……
……て書いたけど、この解釈が合っている自信はない。
まあ感じ方は人それぞれということで。
4thアルバム『白金の夜明け』 収録曲
AMARANTHUSと同時に発売されたアルバム。
こちらは『夢の世界』がテーマになっている。
どこか幻想的な曲が多い印象。
8.白金の夜明け
CONTRADICTIONが『ぐいぐい引っ張ってくれる系』
DNA狂詩曲が『背中おしてくれる系』
だとすればこの曲、白金の夜明けは『一緒に立ち止まってくれる系』である。
ももクロにしては珍しく弱気な言葉が多く含まれるこの曲。さらに意外だったのは、これまでは弱い気持ちなんて吹き飛ばそうぜ! だったももクロが、一度自分の弱さを受け入れた上で前に進もうと提案しているところ。
曲中では『でも』とか『だけど』とか『だから』とかいう言葉を使っているところも珍しい。圧倒的なポジティブで人を元気づけるももクロが、この曲では敢えてその力を抑えて『ネガティブな中のわずかなポジティブ』を表現しようとしているように感じた。
『人を励ます曲』と一括りにしてしまえばそれまでなんだけれど、年数を重ねるごとに、励まし方に深みというか懐の深さが加わってきているのを感じる。
辛くて落ち込んでどうしようもなくなったときに、ぜひとも聴いて欲しい一曲。
アルバム『MCZ WINTER SONG COLLECTION』 収録曲
9.空のカーテン
意外かもしれないが、ももクロの曲で季節の歌といえば冬曲が一番多い。そんな冬曲の中でも特に好きなのが空のカーテンある。
進路に迷ったときや挫折で目の前が真っ暗になったとき、自分は一人でこの曲を良く聴いていた。個人的にはももクロの中で一番思い入れのある曲かもしれない。
この曲の歌詞としては、間違いや遠回りをすることを肯定してくれる歌詞になっている。そういう意味では、先ほど紹介した『デモンストレーション』に近いのかもしれない。
ただ、こちらの曲は「俺が地球を止めてやるんだ!」というようなスケールの大きさは感じられない。むしろグルグル回る地球に振り回されながら、どの道に進むべきか分からずに右往左往する弱々しさが感じられる。
ゴールに続く道のりがどれか分からない。将来への漠然とした不安。だけど未来から目を背けてはいけない。間違っても泣いてもいいから、とにかく前を向こう。
そんな歌である。
この曲に関して言えば、ライブ映像もぜひ観てみて欲しい。前奏がしっとり流れたときのそれぞれのメンバーのあの何とも言えない表情……
これがまたいい
ベストアルバム『桃も十、番茶も出花』 収録曲
10.クローバーとダイヤモンド
4人体制になって初めて発表された曲。
次元を超えたり転生したりと、一時期は『人を超えた何か』みたいな表現が多かったももクロだけど、最近は普通に人間をしているような気がする。
『ももクロは人間としての理想像を提示している』なんて前回記事で書いたりもしたけれど、その理想像の提示の仕方は、年を重ねるごとに徐々に変わってきているように思う。
あくまでただの主観だが、ももクロは、
未熟ながらも夢に向かって努力する過程に『理想』を感じさせるももクロ
から、
人間を超えた存在のような演出をしながら、100%の『理想』像を追求するももクロ
に変わり、
そして4人になってからは、
理想通りにはいかない現実と向き合った上で、軸としての『理想』はブラさない大人なももクロ
へと変わりつつあるように感じる。
そんな流れの変化が、この曲には隠されているような気がしてならない。
まずこの曲、内容からするに今のももクロの心境について歌われているんだろうけれど、冒頭からいきなり来る『悩み』や『苦悩』、そして中盤での『涙』『苦労』といった言葉が引っかかる。
弱さや迷いについて歌った曲はここ数年でもあったけれど、それがももクロ側の視点の歌で歌われることはここ数年なかった。
似ている曲を挙げるとすれば、この記事の最初に紹介した『コノウタ』が近いように思う。『コノウタ』は、ももクロが5人の新体制になった年に発表された曲である。状況的にも類似点は多い。
『コノウタ』で歌われていたようなももクロが抱える弱みみたいなものが、曲のスケールが大きくなるごとに次第に薄れて隠れていった。しかし4人態勢になった今年、『クローバーとダイヤモンド』で再び表に表れた。
こうした一連の変化、まるでどこかのヒーロー映画のようだと僕は思う。
天性の才能を持った5人(元6人)のヒーロー。未熟ながらも全国を飛び回り、多くの人を笑顔にして救ってきた。次第にその活動が評価され、5人は一躍人気者に。さらに多くの人に、より大きな笑顔を届けるため、5人はヒーローとしての『仮面』を身に着ける。仮面を身に着けることで弱さを捨て、自分達をより理想に近づけることで、5人はさらにパワーアップした。支持する人の数も増え、さらに活動の幅を広げていくが、当然上手くいくことばかりではない。救いきれない人がいる、誤解されることだってある。笑いたくないときだってあった。けれども自分の辛さを隠し、理想のヒーローを続けなければならない。
そんな中、ふいに訪れた1人のヒーローの離脱。理想通りにはいかなかった色々なごたごたが、支持者の心を少しだけ揺るがせる。ボロボロと崩れ落ちる残された4人の仮面。今まで仮面の下で抑えていた不安や迷いが、意図せず表に出てしまう。この先どうすればいいのかと……。
……しかし4人は立ち止まらなかった。剥がれ落ちた仮面を一度捨て、理不尽な現実もしっかり見据えながら、再びヒーローとして立ち上がる。自分達を必要とする人がいるから。叶えたい夢があるから……
みたいな。
4人になったももクロ。最初はこの先どうなるのかかなり不安だったけれど、今では新しいももクロへの期待しかない。
最後に
ブログを始めたら一度は書こうと思っていたももクロ記事。このネタはかれこれ3年くらい下書きに放置してました。
自分の好きな曲の考察なんて、恥ずかしいので普段なら絶対やらないのですが、敢えて今勢いで書き切りました。
いろいろ書きましたが、たぶんももクロの魅力全体のほんの一面しか書き切れていないと思います。なのでとにかく一度聴いてみてくださいといった感じです。
生まれつき根暗で捻くれたことばかり考えている僕ですが、そんな自分にとって、ももクロは自分が正常であるための最後の砦だと思っています。
世の中を冷めた目で見ていると、次第に何もかもが嫌になり、世界そのものが嫌いになることがたまにあります。ですが、どんなときでも純粋に明るいももクロを好きでいることで、かろうじて
と、自分の腐った心を修正することが出来ています。
最後に、自分と同じようにジメジメした日陰で生きている根暗な皆さんに一言。
じめじめした日陰からほんの少しだけ日の光を浴びるように、ももクロの曲を少しだけ聴いてみてはいかがでしょうか。
ももクロの10周年を記念したベストアルバム。
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