アベンジャーズや007。
世の中ではお金がかかったど派手な映画ばかり注目されています。
しかし、
低予算映画だって頑張ってます。
低予算映画ならではの工夫、面白さだってあります。
というわけで、個人的に好きな低予算映画を紹介します。
ミッション:8ミニッツ
2011年公開
製作費 3200万ドル
あらすじ
シカゴで乗客が全員死亡する列車爆破事故が起こり、事件を解明すべく政府の極秘ミッションが始動。爆破犠牲者が死亡する8分前の意識に入り込み、犯人を見つけ出すという任務遂行のため、軍のエリート、スティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)が選ばれる。事件の真相に迫るため何度も8分間の任務を繰り返すたび、彼の中である疑惑が膨らんでいく。
3200万ドル? たけえ! と思うかもしれないが、そんなこともない。(いや高いけど)
本作と同じ年に公開された『トランスフォーマ― ダークサイドムーン』は、製作費19500万ドル(1.95億ドル)である。実に本作の約6倍だ。
最近のSF映画の中では安い方。そして、安くするための工夫が脚本にもみられる。
舞台は基本、列車の中
本作はループ作品である。なので舞台はほとんど列車の中。それも同じ時間のシーンを繰り返す。
これはかなりの場所代の節約だ。役者の数も抑えられる。
だからといって手を抜いているというわけでは決してない。脚本はしっかりしたSF。それもかなり面白い。
列車事故が起こるまでの8分間を何度も何度も体験する主人公。8分間で色々なことを試しながら、次第に真実へと迫っていく。
果たして列車事故の犯人とは? そしてなぜ、主人公は過去に戻れるのか? 主人公に与えられたミッションの結末とは?
とにかく脚本がしっかりしているので、最後まで満足して観ることが出来る。
崖っぷちの男
2012年公開
製作費 4200万ドル
あらすじ
高層ホテルの21階。一人の男が窓枠を乗り越え、今にも飛び降り自殺か?! 周囲は騒然とし警察が出動。男は交渉人としてある女性刑事を指名する。やがて判明する男の正体。彼はNYPDの元署員ニック・キャシディ。ダイヤモンド横領の罪で服役中に脱走していたのだ。果たして彼の目的は。そして、事件の陰には巨悪の陰謀が見え隠れするのだった。
主人公が基本、崖っぷち
いかにもなB級映画的タイトルだが、ストーリーもタイトルの通り。
主人公の登場シーンはだいたい崖っぷち。それも飛び降り自殺をしようかどうか迷っているという狂いっぷり。
しかし、主人公はなかなか自殺をしようとしない。いや、自殺をする気があるようには全く見えない。……じつはこの主人公、別の目的があってこの崖っぷちに立っていたのである。
果たしてその目的とは?
割とよくできたミステリー
本作品は、観終わってからもう一度観たくなった。
伏線がいろいろなところに張り巡らされており、終盤、物語は意外な方向へと進んでいく。いろいろな人間が主人公とは別に行動しているのだが、そんな彼らの行動の意図が、終盤で一つにまとまるのが面白い。
崖っぷち展開にハラハラしながら、最後までワクワクして楽しめる作品だと思う。
ミスト
2007年公開
製作費 1800万ドル
あらすじ
ガラス窓を破るほどの嵐の翌日、スーパーへ買い出しに出掛けたデヴィッド(トーマス・ジェーン)。軍人やパトカーが慌ただしく街を往来し、あっという間に店の外は濃い霧に覆われた。設備点検のために外に出た店員のジム(ウィリアム・サドラー)が不気味な物体に襲われると、店内の人々は次第に理性を失いはじめ……。
霧濃過ぎ
この映画、どのシーンでも常にメチャクチャ濃い霧が漂っている。
この濃い霧によって、登場人物を襲う怪物たちの姿はほとんど見えない。これはおそらく、CGの費用を節約しようとする監督の作戦だろう(笑)
しかし、この濃い霧という演出。作品としてはとても良い方向に機能している。
霧が濃くて良く見えないからこそ、怪物に対する恐怖が増すようになっているのだ。
怪物の正体がわからない恐怖。いつ、そしてどこから襲われるかわからない恐怖。
そして恐怖に襲われた人間の集団が、とんでもない行動をとり始める恐怖……。
とにかく恐怖の演出が上手く、最後までハラハラしっぱなしだった。
物議を醸したラスト
ラストはとにかく衝撃の一言に尽きる。
このラストが、本作品をただのB級映画から一歩抜け出たものにしたと思う。
このラストを知らない人は、とにかく何も調べずに観てほしい。
そして憂鬱な気分に浸って欲しい。
ハートロッカー
2008年公開
製作費 1100万ドル
第82回アカデミー賞 6部門受賞
あらすじ
2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ軍爆発物処理班・ブラボー中隊のリーダーに、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が就任する。まるで死への恐怖などないかのように遂行されるジェームズの爆発物処理の様子に、仲間のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)らは不安を抱くようになり……。
アバターに勝っちゃった
第82回アカデミー賞作品賞。下馬評では、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』が有力視されていた。
しかし、実際に受賞したのは元妻キャスリン・ビグローが監督した本作品『ハート・ロッカー』だった。
『アバター』の製作費が23700万ドルと言われているので、『ハートロッカー』は実に約21倍もの製作費の差を押しのけて勝利したことになる。
やはり映画の面白さはお金だけじゃない。
まあ『アバター』も面白かったけど。
兵士の内面をリアルに描く
本作を観て特に感じたのは、登場人物がとにかく生々しいということ。
これは低予算による劣悪な撮影環境もプラスに影響しているのかもしれない。もしかすると、戦場の過酷さと撮影現場の過酷さがシンクロしたのかも(?)
まあ何にせよ、まともな精神ではいられない兵士の苦悩がはっきりと伝わってくる。
決して派手な映画ではなかったが、観終わった後に、何かぐっと心に残るものがあった。
今回は4作品を紹介してみました。
アクションものが中心になりましたが、コメディーでもファンタジーでも恋愛ものでも、低予算で面白い作品はいくらでもあると思います。
低予算なりに面白い作品を作る。
そんな映画監督の工夫を探しながら映画を観るのも面白いかもしれません。
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