バットマンVSスーパーマン 【ネタバレ】 それでいいのかバットマン

映画
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映画を観て思った感想を書きなぐります。


 

安定のぼっちで観に行った『バットマンVSスーパーマン』

人を避けて平日の午前に観たのだが、劇場は春休み中の学生と親子連れでにぎわっていた。

 

画像引用:『バットマンVSスーパーマン』 公式サイト

前回の記事:バットマンVSスーパーマン 感想【ネタバレほぼなし】

 

上映スタート。わくわくする始まり

始まりは前作の続きから。

前作『マン・オブ・スティール』での大惨事が、バットマンことブルース・ウェインの視点から描かれる。

そして、ダイジェストでのバットマン紹介。両親が射殺されるシーン。事前知識がないと、ここら辺でもう既に分からなくなることだろう。

ここで、やはりどうしても比較してしまうのがMARVELの『アベンジャーズ』である。あちらは事前知識ゼロでも十分楽しめる作りになっていたが、こちらはかなり厳しいだろう。

ただ、一般受けを狙い過ぎないスタイルは嫌いじゃない。

 

盛り上がらない序盤

こうして始まった『バットマンVSスーパーマン』

僕はそこそこ楽しく観ていた。だが開始一時間ほどで、隣の小学生の寝息が聞こえはじめる。

まあ寝てしまうのも無理はない。序盤はとにかく暗い話が続くのだから。

 

ただ、個人的にはこの展開は嫌いじゃない。むしろ『ヒーローが原因で人が死ぬこともある問題』を扱ってくれるのはかなり嬉しかった。

これまた『アベンジャーズ』の話に戻るのだが、『アベンジャーズ』では、ほぼ絶対といっていいほど、一般市民が死ぬ場面を映さない。それどころか、ヒーローが活躍している部分ばかりを取り上げ、まるで誰も死んでいないかのように世界は平和を取り戻す。

アイアンマンのビームが市民に当たることはないし、ハルクの暴走が市民を殺すこともない。(あったとしても映さない)

別に僕は、このことで『アベンジャーズ』を批判しようとしているわけではない。むしろ、純粋にアクションを楽しむためには必要な調整であると思う。

しかし、『バットマンVSスーパーマン』では違った。最強で善人であるはずのスーパーマンが、人類から非難を受けてしまうのだ。ヒーローには常に【代償】がつきまとう。大きな力には、当然大きな責任が伴ってしまう。スーパーマンでも、救いきれない命はある。

この展開には、思わず「よくやってくれた!」と言いたくなった。

正義とは何か。何のために戦うのか。そんな葛藤をしているヒーローはやはりかっこいい。ヒーローが抱える苦悩が理不尽なものであるほど、僕はそのヒーローを応援したくなってしまう。

 

それでいいのかバットマン

葛藤するスーパーマン。一方でバットマンは、着々とスーパーマンを殺す準備を整えていく。

ダークナイトシリーズしか観てないからなのか、僕はこの辺のバットマンの行動原理には違和感を覚えた。

「人類の脅威になる可能性が1パーセントでもあれば殺す」

確かバットマンはそんなことを言っていた。

…あれ? バットマンってこんなこと言う奴だったっけ?

正義のためなら手段を選ばない。←まあこれはわかる。

人類の脅威になる可能性が少しでもある奴は善人でも殺す。←これが理解できない。

まあレックス・ルーサーに騙されていた、という部分も少しはあるのかもしれないが、ここでのバットマンの考え方は短絡的過ぎるように感じた。そもそもあそこでスーパーマンを殺して、その後はどうするつもりだったのだろうか。他のクリプトン星人が襲来しても、同じように単独で殺すつもりだったのだろうか。

それに、【人は本質的には悪である】のような性悪説的な考え方は、『ダークナイト』のジョーカーの考え方に近いような気がした。長年の戦いで、バットマンの考え方も変わってしまったのだろうか。

 

お人よし過ぎるよスーパーマン

一方でスーパーマン。彼はもう踏んだり蹴ったり。

人類の信頼を得ようと法廷に立つと、その法廷が爆発されたり、(爆発を受けても無傷)

その爆発の犯人だと疑われたり、(言いがかり)

彼女がビルから突き落とされたり、(余裕で助ける)

自分の母親が誘拐されたり……(なぜか助けられないらしい)

ここまで酷いことをされても、ヒーローであり続けようとするスーパーマン。あんたすげえよ。

普通なら、「あれ? 地球人って生きてる価値なくね?」と思ってもいいくらいのものである。

しかしそこをぐっとこらえ、バットマンに協力を求められるあたりが、さすがはスーパーマンだなあと感じた。

 

そして始まる世紀の対決

いろいろあって対決することになったバットマンとスーパーマン。

二人の戦闘を観ていてなぜか頭に浮かんだのが、ONEPIECEのルフィVSウソップだ。

どんなに汚い手を使っても勝ちたいバットマン(ウソップ)と、それを余裕で受け流しながら実は戦いたくないスーパーマン(ルフィ)
なんだか構造が似ている。

しかし、大きく異なっていたのは二人の戦いの結末。
なんと圧倒的な戦力差をひっくり返し、バットマンがスーパーマンに勝利してしまうのである。

そして当初の計画通り、スーパーマンをロンギヌスの槍みたいなもので殺そうとするバットマン。しかしバットマンの手が止まる。

なんと、母親の名前が同じだったのだ!(びっくり!)

母親の名前が同じなら、殺すわけにはいかない。こうして二人は協力関係を結ぶことになったのであった……。

まあ、いろいろとツッコミどころはあるが、中々盛り上がる戦闘ではあった。何せバットマンとスーパーマンが殴り合っているのである。その時点で面白くないわけがない。

隣に座る小学生も、このシーンでは目を覚ましてポップコーンを食べていた。

 

強そうな敵が登場

ここから二人の協力プレイが始まる。

バットマンは、バットマンらしい戦闘で悪党からスーパーマンの母親を救い出す。
スーパーマンは、何か強そうな怪物(名前忘れた)と激しい戦闘!

しかし、圧倒的な敵の強さに苦戦するスーパーマン。人類から核爆弾をくらい、体はもうボロボロ。

バットマンが応援に駆け付けるも、ただの人間のバットマンではまるで歯が立たない。

そこにワンダーウーマンが登場し、そして復活したスーパーマンが現れ、遂に三人が揃う。

バットマンとスーパーマン、そしてワンダーウーマンの三人で、協力して敵を倒せ!

 

……もの凄い戦闘だった。何かもういろいろ爆発するわ、スーパーマン強いわ、バットマン逃げ回るわで、映像的にはかなり興奮するシーンだったと思う。

しかしこの戦闘シーンの間、僕は少しだけモヤモヤしていた。

前半のくだりは何だったのか

前半に散々やってきた、【一般市民がいっぱい死んでるよ問題】
この問題に何の答えも示されないまま、馬鹿みたいにど派手な戦闘が繰り広げられていくのだ。

戦闘は激しいし面白い。でも、前半のせいで余計なことを考えてしまう。

あれ? 今ので人死んだんじゃない? ……ああ、夜だから人が少ないのか。
あれ? さすがに今のはまずいでしょ! ……ああ、無人島か。

前半のやりとりのせいで、変なノイズが生じてしまう。

これはまた、スーパーマン嫌われちゃうなあ。
おいバットマン! 一般市民死にそうだぞ! 人類の脅威がいっぱいいるぞ! それスーパーマン殺してたらどうするつもりだったの? 一人で倒すつもりだったの?
おいワンダーウーマン! ……あんた誰だよ。

前半のシリアスも個人的には好きだし、後半のアクションも面白いとは思う。でも、その二つが上手くかみ合っていない。
そんな印象を受けた。

 

そうだ、チームを組もう

なんやかんやで敵は消滅し、そしてスーパーマンも死亡した。(たぶん生きてる)

市民はスーパーマンの死を悲しみ、そして英雄として供養する。
ここでも気になったのだが、前半のくだりはどこへいったのだろう。

アンチスーパーマンの市民達は一体どうなったのか。
手のひらを返してスーパーマンを賞賛したのだろうか。
それとも、スーパーマンの死を喜んでいるのだろうか。

いずれにしても腑に落ちない。
「スーパーマンはやっぱりヒーローだぜ!」と意見を変える要素も特になかったし、
「スーパーマンが死んでよかったぜ!」なんて雰囲気でもなかった。

【みんなのために戦って死んだから英雄】という理屈でも分からなくはないが、それではいろいろと悩んでいたスーパーマンが報われない。
モヤモヤする。

 

最後のバットマンも気になった。
「これからは、みんなで協力して戦うんだ」
↑スーパーマンを殺そうとしていた男がこの発言である。

「人は誰しも間違える。だけど、大切なのはその後だ」
↑こんな感じのことも言っていた。反省はしていないのだろうか。

圧倒的な敵と戦い過ぎて、考えが変わったバットマン。
果たして彼はキャプテンアメリカのような、カリスマ性のあるリーダーになれるのだろうか。
……心配だ。

 


 

 

思いついたままに書きました。

批判寄りの意見になりましたが、楽しめたことには楽しめました。
映像としての盛り上がりや、部分部分で楽しめる要素が数多くあったので、観て損はない映画だと思います。

全体的に消化不良な感じがしましたが、これは僕の読解力のなさなんでしょうかねえ。
DVDではカットされた場面の映像が見られるという情報もあるので、それによっては印象が変わるかもしれません。

 

……あ、サントラはすごくよかったです。


コメント

  1. すごく共感しました。
    私も観に行ったのですが、過去のシリーズをほとんど見てるのに原作のネタが多かったようで理解が追い付きませんでしたよ…
    あとあと考察・解説サイトを見て、あの映画で見てた幻覚は原作の平行世界ネタだったと知りました。

    あと、私はバットマン派なんだけどバットマンがかっこ悪いのがショック。
    自分の部下たちが巻き込まれ街が破壊されてスーパーマンに疑問を抱くのはわかるけど、いきなりスーパーマン絶対殺すマンになっててビックリ。
    一応スーパーマンは正義として頑張ってるのは周知の事実なのに、スーパーマンの言い分や「被害出てるからやめてね」とかなく、いきなり絶対殺すマンになるの?って。
    ジョーカーの事も殺せずに悩んでたのに?って。
    あなたそんなキャラでしたっけ?って。

    しかも、二人の戦いがまた!
    最新技術のスーツで頑張ってるとはいえ、スーツの中でバットマンがミンチになってたりしないの?
    もう、バットマンさん超元気。
    スーパーマンさんもつられてダサい。
    緑のスプレー吸って苦しむ姿は、主婦に殺虫剤やられたゴキブリのよう。

    更にラスボスに対するバットマンさん、お役に立たない事この上なし。
    1人だけ人間だから仕方ない。
    仕方ないけど、なんか、知恵で戦うとかそういうのもない。
    最終兵器はスーパーマンが持ったら弱るから人間であるバットマンが頑張るのかと思ったら、やっぱり空気。
    最後の戦いにバットマンさんは必要だったのだろうかと思いました。

    結局、一般人の被害出まくりの件も同じく気になりました(笑)
    海や広野に誘導するとか、そういうのも無いんだって(笑)

    続編でもっとカッコいいとこ見せてくれることに期待ですが、
    なんかもう、消化不良でした。

    • コメントありがとうございます。

      やっぱり、期待していたバットマンとは少し違いましたよねえ……

  2. “まつようじ”様 私はDVDレンタル貸出迄、待ち、じっくり鑑賞しました。”まつようじ”様の7項目
    コメント全て共感致します。”強そうな敵が登場”での敵なる名前がDVDで確認しましたら”DOOMSDAY”(ドゥームズディ)でした。(何やら審判の日とか、世界の終末の意味らしい)
    “そうだチームを組もう”でスーパーマンは多分どころか、絶対、死んでませんね。「アベンジャーズ」に対抗して続編を確実に狙った意図を感じます。(ロイスが一握りの土をスーパーマンの棺桶に掛けて立ち去った後、その土が浮き上がったからです。)

    • コメントありがとうございます。”DOOMSDAY”ですか。
      そういえば、DVDでは未公開映像がかなり含まれてるらしいですね。
      僕もレンタルして、もう一度観ようかなあ。