アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

小説
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小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
映画『ブレードランナー』

の感想です。


最初に『ブレードランナー』を観た

SF映画の金字塔とは何か?

こう問いかけられたとき、多くのSF映画ファンが頭に浮かべる作品があります。

それは『ブレードランナー』です。

2019年、惑星移住が可能になった未来。レプリカントと呼ばれる人造人間が謀反を起こし、地球に侵入。レプリカント専門の捜査官“ブレードランナー”のデッカードは追跡を開始する。一方、彼は製造元のタイレル社でレイチェルというレプリカントに会い、心を通わせていくが……。熱心なファンによって支持され、カルト化したSFハードボイルド・アクション。監督リドリー・スコットの映像センスは絶賛され、その人気を不動のものとした。92年に再編集された「ディレクターズカット/ブレードランナー 最終版」が公開された。

ブレードランナー 映画.com より

多くの人によって絶賛され、あまりの人気に続編も決定したらしい本作品。

ここまで注目されている作品なら、つまらないはずがない!
SF映画の金字塔を観ないわけにはいかない!

こんなふうに期待をかなり膨らませながら、僕はDVDをレンタルして視聴しました。

その結果、一度観て抱いた感想

  面白くは……ない

 

正直言って退屈でした。
どうしてこの作品がこんなにも評価されているのだろう。そんなことまで考えてしまいました。

観ていてとにかく感じたこと。それは、あまりにも説明不足過ぎるということです。

設定が良く分からないまま淡々と物語は進行するし、
全体的にどんよりとした暗い雰囲気だし、
主役を演じるハリソンフォードの声が渋すぎて聞き取りづらいしで、
作品世界に入りこみづらいなあ、という印象を持ちました。

 

そしてもう一つ、僕がいまいちのれなかった理由として、ブレードランナーの影響を受けた作品を先に観てしまったというのがあると思います。

特にブレードランナーを象徴する要素であるじめっとした近未来の世界観。
これと似たような世界観を、既に他の作品で、しかも最新映像技術を駆使したものを観てしまったことによる影響が大きい。

具体的に言うと、リブート版『トータルリコール』を先に観るんじゃなかった、ということです。

なんだか初期マクロスより先にシドニアの騎士を観てしまったときのような申し訳なさを感じました。(ああ、それ元ネタあったのか! という感じ)

ただ、印象に残ったシーンは多くありました。【強力わかもと】とか、時折聞こえて来る日本語とか。(二つでじゅうぶんですよ!)

それと、終盤のシーンはぐっときました。レプリカント、ロイ・バッティから感じられる人間とは違うけれど人間らしい何か……ダメだ、どうしても抽象的な表現ばかりになってしまう。やっぱり難しい。

 

次に『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだ

いろいろあって楽しみきれなかった『ブレードランナー』

普段なら、あまり面白くなかった映画の原作なんて読もうとは思いません。
しかし本作は違いました。
なぜなら『ブレードランナー』は、面白くはなかったけど名作には違いないからです。

『ブレードランナー』は説明不足でテンポが遅い。しかし、だからといって内容が薄いわけではありませんでした。むしろ濃い
作品の根底にある深いテーマを理解しきれなかった(間違いなく僕の読解能力不足)。いろいろな人の感想を読みながら、僕はそう感じました。

こうして、なんやかんや気になって読み始めたのが、原作である『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。

そして、読み終わって抱いた感想

 ……おもしれえ。

これだよこれ! という感じでした。
やはりこういうものは原作の方から見るべきなのかもしれません。

まず、作品のテーマがびんびんに感じられる。

  • 人間とアンドロイドの違いは?
  • 人間らしさとは?
  • そもそも人間とは?

小説も難解であることには変わりないのですが、文章で書いてあるので、上に書いたような深いテーマについても考えやすいと思いました。

そして、もう一つ良かったのが主人公の心理描写がなされていること。
感情をあまり表に出さないハードボイルドな主人公は、やはり映像だと何を考えているのかわかりづらい(個人的には)。

その点、小説版では主人公リックの心情、考え方の変化を追いやすかったです。

アンドロイドと人間を完全に別物だと認識していたリック。彼がアンドロイドの中に人間らしさを感じ、そしてアンドロイドに同情の気持ちを抱き始める。そしてアンドロイドを処分するという自分の仕事に疑問を持ち始めて……?

なんだか僕の説明だと薄っぺらい感じになってしまいますが、実際はこんな単純なものでもないです。

映画より分かりやすいとは言っても、それでも分かりづらい部分は多いですね。
それが良い意味か悪い意味かは別にして。

 

まとめ

やっぱりsf作品は難しい。特に古典作品はかなりとっつきにくい。
難しい作品を理解できるか理解できないかは、人によって異なってくると思います。
そして理解できなかった場合、その作品を「ややこしい」と捉えるか、「深い」と捉えるかも人それぞれだと思います。

あなたにとって『ブレードランナー』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』はどんな作品だったでしょうか。

どんなに難解な作品でもそこに『深さ』を感じ、そして楽しめるような人間になりたいです。

『ブレードランナー』もう一度観てみようかなあ。

 


次回もこの二作品について。

もっと作品のテーマに関わることを書いてみようかと思います。

人に近づくアンドロイドとアンドロイドに近づく人

 


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